2014年02月09日

雪もいい

大雪の翌日、都知事選の投票所にyoukoさんを連れていった。
足元が危ないから、杖を持たせて、しっかり手をつないで歩く。
「子供の頃、sumioさんと公園にスキーとそり持って滑りに行ったよね」
「昔はこのくらいよく降ったわよね。私が5つくらいの頃なんかは、胸まで積もったもの(←それはいくらなんでも大げさでしょう)」
いつになくご機嫌のyoukoさん。
まだ誰も踏んでいない白いところを見つけては、長靴でずんずん歩いて足跡をつけ、
生け垣の上にこんもり積もった雪を見つけては、「ちょっとちょっと!」と手をふりほどいて近づき、杖の先で叩いて落として遊ぶ。

そうだよyoukoさん、前はそんな風にお茶目な女の子みたいなお母さんだったよ。

時々雪に足を取られて滑りそうになる私の手を、ギュッと握って
(黒いゴム長の方が、お洒落なレインシューズよりずっと安定している)
「大丈夫ですか、おねえさん」なんてふざけてみたり。
つかの間のお散歩。
楽しかったね。


ラベル:
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2014年01月22日

またもや

銀行の通帳をなくしては再発行し、カードをなくしては再発行して暗証番号を変え、
そのうち、「出てきたのよ!」ってことで、どの通帳が生きているのか死んでいるのか
どの口座にいくらお金があるのか、銀行印はどれが合っているのか、
さっぱりわからなくなっているのが判明したのは引っ越しを決めた後のことだ。
その整理がつくまで、まー大変だったこと!!!!
二度と思い出したくない。

それもあるし、「大事なモノを入れた箱を開けに小人がやってくる」という幻視を見て大騒ぎするので、
一切合切私が預かることにしたのだ。
病院に行く時には、私が保険証を用意して診察券を用意して一緒に行く。
お金は私が必要な分だけ下ろして手渡す。

ところが、すぐに入り用だから、と電話が来たので、油断してゆうちょの通帳とカードを渡したのがまずかった……。
「ね、暗証番号なんだっけ」と電話が来た時には、もうさんざん間違えた番号を入力した後で、
通帳もカードもブロックされてしまった。
──というこことがすんなりわかったわけではなく、
夕方、家に顔を出すと、元気な頃に付けていたノートを真剣にめくりながら、
「おかしいのよ、通帳が。新しい通帳に変えたのかしら。正しい暗証番号を入れてもダメなのよ。3回も通帳を新しくしたみたいなんだけど、自分で書いてあるのによくわからないのよ」
「局長さんが、番号変えればいい、って言ってたから、すぐに行ってくるワ!」
という話を聞いて、はじめて事態が露見したというわけ。

あぁぁぁぁぁぁ。またか!

こういう時に無性に腹が立つのである。
だいたい、父の三回忌でお金が必要になるのは1週間も後のことなのに。
朝っぱらから電話してきて「お金が足りない」と騒ぐから、「そんなに急ぐなら自分で行ってくれば」と通帳を渡した私が浅はかだった。
「もう、やめてよ! そうやってすぐにいろいろやっちゃうから何が何だかわからなくなるんじゃない! 私が行くから通帳とカード渡して!」

不安そうな顔で「行ってらっしゃい」と玄関で見送るyoukoさんの顔を見ると
悲しいのと腹立たしいのと、自分がイライラしていることへの腹立ちと、ない交ぜになって
どーんと疲れるのだった。
どうしたって優しくなれない。

翌日になると、番号を押し間違えたことすら認めようとせず、
「おかしいのよ、間違った番号なんか一度も押してないのに、ダメになったのよ」と言い張る。
間違えたからダメになったんでしょ! と言うと
「まぁ、機械がそう言うんなら、そうなんでしょうねぇ」だって。
あぁぁぁぁぁぁぁ。
どうしたって優しくなれない。







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2014年01月17日

家にやってくる人々

「最近、調子がいいのよ」とyoukoさん。
レビー小体型認知症の代表的な症状である幻視のことだ。
見えないの? と聞くと
「見えない、っていうより、やって来ないのよ」だって。
youkoさんの家にはいろんな人がやってくる。らしい。
3年ほど前から見え始めたのは、「田舎娘風の洋服を着たフランス人形」「柱をよじ登る3歳くらいの男の子」
「妹たち」などなど。
父が亡くなって一人暮らしになると、不安が高じてだんだん「コワイ人たち」が多くなってきた。
そして、幻視と現実の境があいまいになってくる。
電話をすると「昨日もアイツらがやってきたのよ!」とひそひそ声で報告する。
「電気を点けさせまいとして、紐を引っ張って消しちゃったのよ。その紐を私が届かないところに隠そうとして、電気の上(照明シェードの上)に上げちゃったのよ!」真面目に言う。

ウチの近くに引っ越して来させた頃は、新しい部屋に馴染めなくて毎晩のように電話で呼び出された。
「早く来て! カーテンの向こうに男がいるの!」
急いで駆けつけると、「ほら! ほら! あそこ! いるでしょ!」
猟銃を持った男が恐ろしい顔で狙っているという。
「何もいないよ、大丈夫」とカーテンを開けようとすると、「あぶない! ダメよ!」と悲鳴を上げる。
床の上には布団叩きが転がっていて、「それで戦っていた」と説明する。

9月の末。引っ越してきた頃は最悪だった……。
youkoさんの飼い猫の1匹が逃げ出してしまったのも影響を及ぼして、
「あの穴(テレビのアンテナを接続する穴)からミケちゃんがスーッと出て行った」
「お隣への境の壁から向こうにミケちゃんが行っちゃうのを見た」
猫が5日後の自力で戻った後も、
「隣の男の子がゴン太を抱えてやってきて、玄関からポンっと投げ込んだのよ! きっとあの子が連れて行って隠してたのよ」
玄関は鍵がしまっているし、お隣にはそんな男の子はいない、といくら言っても聞かない。

近所の賃貸マンションから、私の家のすぐ隣の分譲マンションに引っ越すことになった時には、
最初の引っ越しでつぶれてしまった古い紙製の衣装ケースを指さして
「つぶれるのも当然よ。その上で毎日女の子たちが飛び跳ねているんだもの。上でお母さんがご飯を食べさせている時もあるし」なんて言う。
実際につぶれている箱と、幻視の世界がストーリーで結びついているのである。
2度目の引っ越しで、私や夫が適当に荷物を運び入れて置いたものを指さして、
「こんなモノは初めて見た。誰かが持ってきたのよ! トイレにこんな紙パンツを置くなんて、嫌がらせに決まってるワ!!」と激怒する。
肺がんで亡くなった父が最後に使っていたパンツ型のオムツを何気なくそこに置いただけのことなのだが、それがここにあるということが理解できない。
洗面所に置いたドライヤーを見て、「誰かが置いていったのかしら」とも言う。
逆に、引っ越しのドタバタで出てこないモノについては「引っ越しやさんが盗ったのかもしれない」と言う。

まぁ、長くなったけれど、そうしたモロモロが処方されている薬で抑えられてきたのは喜ばしいことだ。
近頃は表情も明るくなったし、何より前向きになった。
悪いことを予想して心配することが減り、人の悪口も抑えられるようになってきている。
本当に今のクリニックにたどり着いてよかった!
経験のあるお医者さんとの出会い、そして、経験に基づく的確な薬の処方。それに尽きる。
大きな総合病院に行けばいい先生がいるとは限らないし、専門書に出ている薬がいいとも限らない。
このまま、小康状態が続いてくれるといいんだけどねぇ。









posted by miwatarou at 17:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日のyoukoさん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月13日

イライラのもと

昨日の今日で舌の根も乾かぬうちに小さなケンカ。
足元がおぼつかないので、なるべく床にはモノを置かないように、通路は広く、と言っているのに
どうしても猫のえさの皿を通路に置きたがる。
所定の位置に戻すと、「そこだと暗くて見えないわよ」「2匹並ぶと狭い」「そこに置くと食べられない、って言うもの」と反論する。
猫は暗いところでもよく見えるし、2匹いっしょでも十分並ぶことができる、お皿につまずいて転んだら大変でしょう?
何度言っても、次の日にはまたズズーッと皿を前に出してある。
今日行ったら、今まで敷いていたトレイの代わりに、もこもこした足ふきマットを広げてその上にカリカリの皿と水のボウルが載せられてて、なんか、それを見た途端にピキーンと切れてしまった。
キッチン前の通路はさらに狭くなるし、だいたいなんで足ふきマットなのか!
「どうしてもここに置くなら作業台をずらします!」と、家具のレイアウトを変えようとしたら
「ちょっと、勝手に決めないでよ!」と憤るyoukoさん。

レビー小体型認知症の面倒くさいところは、理解力は衰えていても、時間をかければ判断できるので、いい加減に理由をごまかしたり、説明を省いたりできないところである。
それでいて、状況から相手が何を言っているのか察知するのが苦手で、
「あれ」とか「そこ」とか「ここ」というのが何を指しているかがわからないため、
いちいち幼稚園の子供に説明するように
何がこうで、こういう理由があるから、こうしましょう、と順を追って話をしないと納得しない。
それも、自分に都合のいいことはちゃんと覚えているくせに、
都合の悪いこと、気が進まないことはすぐに忘れる。
自分がそういう病気だとわかっているくせに、「そんなこと初めて聞いた」と平気な顔して言う。
こっちも相手がそういう病気だとわかっちゃいるけど、腹が立つのは抑えられない。
精神的によろしくない。

今回の場合、
「ねぇ、いつも言うけど、ここにお皿置いたら危ないでしょう? 転んで骨折したら寝たきりになってどんどん症状が進んじゃうよ。ゴン太とミケちゃんは狭いところでも大丈夫だし、猫は囲まれているところの方が落ち着くんだから、お皿は壁に寄せて置くようにしようよ」
と静かに言えば、本人も納得するのだ。
そうしなかった私が悪い。

どうでもいいことなんだから放っておけばいい。
ダンナをはじめ、周囲の人はみなそう言うし、自分でもそう思うのだが、
なんでこうイライラするんだろうね。





posted by miwatarou at 12:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月12日

YOUKOさん

新年を迎え、いろんなことがあって1年ほど更新できなかったブログを再開しよう、と決意。
Facebookに書き込むには少々重たいことも書けるしね。

ここ1年、老人力がぐいぐい増してきた母、youkoさんを近所に呼び寄せたのが昨年の秋。
新しい家にも慣れて、だいぶ落ち着きを取り戻してきた。
父が亡くなって以来、ようこさんと向き合う時間が増えて「????」と思うことも多かったけれど、
引っ越し後に東京の病院でようやくはっきりとした診断が下され、ある意味ホッとした。
病名は本人も予想していた通り「レビー小体型認知症」。
アルツハイマー型と違って記憶障害はそんなにひどくはないのだけれど、
見間違いや思い込みから妄想や幻視がひんぱんに起こるのが特徴である。
特徴のもう一つは、すり足や前のめり、バランスが取れない、といったパーキンソン症状があること。
ただ、単独の(?)パーキンソン病の人と違うのは、手の震えがないこと。
認知症のテストをするとわりといい点数を取るし、先生の前で歩かせるとしっかり歩くので、なかなか診断が下されなかったのだが、今までやらなかった検査(心筋シンチとSPECT)を受けたら「あぁ、これはやっぱり」と、あっさり病名がついたのだった。

てなわけで、昨年のお盆の頃からyoukoこさん中心の生活が続いている。
幸いなことに、同じマンションの別棟に住まわせることができたので、ちょっと顔を出して様子を見て帰ってくるということができるのが非常に便利。
洗濯機のスイッチを押して、ポストから年賀状を取り出して(3ケタの番号を押して回すポストが開けられない)、郵便配達人となり「おはようございます」と訪問。
しばし歓談の後、「じゃ、洗濯物干すから帰るわ」と帰ってくる。
1日べったり近くにいると必ずケンカになるので、数十分の事務的なやりとりで済むのがありがたい。
適度な距離感を保って、なるべく自活生活を長く続けてもらおう、と。
それが今年の目標だ!
「適度な距離感」「おおらかに見守る」それができれば苦労はしない……。いやはや。



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